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天然大理石と人工大理石、人造大理石の違い

天然大理石と人工大理石、人造大理石と、同じ大理石の名称がついているこれらにはどのような違いがあるのか見ていきます。加工対象、研磨対象としてみた場合、これらは成分、構成素材が違いますので、特性も異なります。

天然大理石は、その名のとおり、天然に存在する自然岩を各地から採石し、板状やブロック状に削ったり、磨き上げる等の加工したものです。

これに対し人工大理石とは、天然素材から作られたものではなく、樹脂から作られています。デュポン社のコーリアンが有名ですが、主に不飽和ポリエステル系、ビニルエステル系、アクリル系(メタクリル系)の3系統のものが存在します。

こうしてみるとわかるとおり、人工大理石には「大理石」の成分は全く入っておらず、関係もありません。天然大理石が使われるシンクやキッチンなどの代替素材として提案されていることが多く、見た目も似たものにできるため、このような名称が使われているものと推察されますが、人工大理石では「樹脂」が主成分であるため、天然大理石とはその特性も異なります。

一方、人造大理石というものも存在し、人工大理石と違いがわかりにくいですが、これはテラゾーと呼ばれる人造石の一種です。人造大理石の場合、チップや粉上に加工した天然大理石を樹脂やセメントなどで固めたものであるため、天然素材の成分が入っている石となります。ただし、複数の石材を混ぜているため、性能は個々に異なり、樹脂でかためたレジンテラゾーと、セメントで固めたセメントテラゾーでも性質が違います。

天然大理石と人工大理石、人造大理石の比較
大理石の種別 特徴
天然大理石
  • 世界各国の大理石の産地より採石される天然の石材。300種類以上あると言われ、色もオーソドックスな白やクリーム系統のほか、緑系統や黒系統など、豊富なカラーバリエーション、紋様がある。天然のものは、ある特定の産地でしかとれない色や模様もあるため、産地とブランドが結びついている。日本ではそこまで利用されてはいないが、諸外国では建築材としてインテリア、エクステリア双方に多用される石の文化として根付いているため、加工方法やメンテナンス方法についても多くの種類のものがある。
  • 特性としては、天然大理石は炭酸カルシウムを主成分としているため、酸には弱い。レモンなどの汁がこぼれても変色してしまう。そのままの状態で使う場合、防汚性能がないため、汚れの種類によっては拭き取るだけでは不十分であったり、シミや変色の元になってしまう。
  • ただし、長年用いて経年劣化した場合でも、表面を研磨すれば新品同様に再生できる。
  • 耐熱性には優れている。また、質感、触感もひんやりしたものとなる。
  • 表面の光沢は、くっきりとした輝きを得ることができる。研磨の仕方にもよるが、鏡面研磨も可能。
  • 比重は2.8前後となるため、樹脂よりも重く、どっしりした安定感が得られる。
人工大理石
  • 不飽和ポリエステル系、ビニルエステル系、アクリル系(メタクリル系)といった樹脂をかためて作られた人工素材。大理石の成分とは無関係で、デザイン上、大理石に似た外観、質感のものを作り出せるほか、大理石にはないデザインのものもある。
  • 樹脂であるため、天然大理石に比べ、比重が1.7前後となるため、低い。
  • 樹脂であるため、その特性の多くは樹脂材料と共通する。天然石やセメント系の人造大理石に比べると耐熱性には劣るものの、防汚性能には高いものがある。日常的に用いる酸性やアルカリ性のものがこぼれても、水でさっと拭くだけで後に残さずきれいに清掃できる。
  • 研磨パッドやサンドペーパーでも研磨可能だが、その部分だけ色が変わってしまうものもあるため、目立たない箇所で試してみる必要がある。
人造大理石
  • 大理石やその他石材のチップや粉を樹脂やセメントで固めたもの。大理石成分が入っているが、樹脂やセメントの影響を受けるため、天然大理石とは異なり、使っている結合剤やまぜている石材の種類の影響により特性が異なる。
  • 天然大理石にはない特性や模様を作り出すためのほか、低コストで建材や内装材にするために作られる場合もある。
  • 高機能な人造石はエンジニアリングストーンとも呼ばれ、天然石を凌駕する物理的性質や化学薬品等への耐性を持つが、加工の難度が高くなる。たとえば、石英が多く含有していると硬度がさらに上がるため、研磨も難しくなってくる。
  • 人造大理石との名称であっても、大理石以外の石材チップや粉末などを混ぜることもあるため、大理石と御影石のハイブリッド型のものや、産地が異なる複数の大理石を混ぜたものなどもある。

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